真理子さんは音高、音大卒業後、船橋小学校近くで音楽教室を開いています。そこはかつておじいさまが借家を営み、『ウルトラQ』の脚本を手掛けた金城哲夫さんも学生時代に住んだ場所です。金城さんが住んでいたという2階に上がらせてもらうと多少リフォームをしたとはいいつつも、昭和の古き良き空気が残っていました。
お父さまはチェロ奏者、お母さまは声楽と音楽一家に生まれた真理子さんは「物心ついたらピアノを弾いていました」といいます。音大の入試時、体調不良にも関わらず主席で合格、そして卒業。在学中には都知事賞も受賞します。卒業と同時にオファーがあった品川にある音高の講師になります。演奏家として活動しつつ、音大生、舞台、保育士、幼・教諭、芸能方面にたくさんの生徒を輩出しました。
そして音楽療法との出会い、故・日野原重明先生のつとめる学会にて7年の講習を経て、音楽療法士の資格を取得しました。現在は音楽学校レッスン講師と、教室の傍ら、世田谷区の重度障がい者施設で音楽療法を担当しています。Eテレ、バリバラにも撮影協力しました。
音楽療法は音楽を聴いて心地よさを感じるもの、心を開いていくものだと思っていたのですが、どうもそれだけではないようです。音楽を聴きながらリハビリをすると、音楽が運動神経を刺激するなど身体面に働く力のほかに、歌や楽器を奏でることで発散・心地よくなる心理面の変化もあるといいます。受動的な療法だけではなく、自ら音を作る・発することで癒されていく能動的な療法があるのですね。
真理子さんは音楽療法に携わって考えもしなかった喜びがあるといいます。
自分の演奏だけではなく、お友達が上手に演奏できると『◎◎ちゃん、上手にできたね!』と拍手しながら声掛けをしたり、みんなで音を楽しむ雰囲気が自然に生まれたり。自力でできる動作が増えたり、声を出せなかったひとが出るようになったり。レッスン後に『とても楽しかった!ありがとう。次は何はやるの?』と握手を求められたりすることが、喜びになっているそうです。
「音楽で社会貢献したい」という彼女は、通常のコンサートも行うほか、お父様の田舎で、東日本大地震で被災した釜石へ募金を送る東北支援コンサートなども精力的に行っています。
その活力はミュージカル、エンタメから得たもの。あるとき、たまたま宝塚歌劇団『エリザベート』を観劇したことがあるそうです。その際、「音楽と演技が絡まるとこれほどまでに心が動かされるのだ」と改めてエンタメの力に驚いたといいます。
今までは奏で教える側だった音楽が、共に楽しむものへと大きく動いた瞬間だったのかもしれません。その後、彼女はときどき、宝塚の舞台で学んでいます。昔、宝塚のオーケストラピットで演奏したお父さまのことを思い出して涙しながら、女優たちの美しさ、演技のすばらしさ、努力、そして心を動かす音楽に包まれています。この感動はどのように生み出されているのか、観劇に止まらず、舞台演出や舞台構成などを紐解き、学び、吸収することで、ご自身が行うソルフェージュの授業、発表、療法などを進化させています。
※ ソルフェージュ…譜面を読むなど、音楽の基礎を学ぶことで音楽能力を培う訓練
最後に聞いてみました、ストレス発散にどんなことをされるんですか?と。その答えがよかったです。
それはショパンの『革命 エチュード』やリストの『ハンガリー狂詩曲』、ベートーヴェンの『熱情』を弾くこと。指が痛くなるほどに打ち鳴らすこともあるといいます。やはり音楽家の熱い血が流れているのだとまざまざと感じさせられました。
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