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コロナだけど、いい話(千歳船橋・久弥/その①)

こんにちは。チトソシです。

新型コロナウィルスの感染拡大で飲食店は売り上げが激減、テイクアウトで頑張っているという話をよく耳にします。飲食店さん以外のお店もそうですし、お仕事されている皆さんだって大変なのはよくわかっています。でも、大変ななか、新しい出会いがあったり、ステキなエピソードがあったりするのではないか。緊急事態宣言が解除されそうな5月中旬に、そんなテーマで取材を始めました。

コロナが収束すれば(終息ではなくてですね)、新しい形で社会は動き出し、たぶん今の大変な状況は忘れられてしまう。皆さんが忘れてしまうのは幸せなことではあるのですが、ステキな話をひとつでも残しておきたい、そんな記録でもあります。

1本目は千歳船橋の和食店、「久弥」さんです。

一番印象的だったのは30分のインタビュー後に、隣の部屋を覗いたときのこと。お弁当の梱包材が客席テーブルの上にうずたかく積み上げられていました。電気はつけられず、少し前まではお客さんで賑わっていた場所。ここに再び電気がつけられてお客さんで賑わう日はもう少し先なのだろうか・・・と思っていると、奥様の美弥さんが

「あれ見える? ヨガマット」と言うんです。運動不足だからここでヨガやって、ほら、このテーブルで事務作業をしてるの、と。

グレーのクッションに、ピンクのヨガマット。客席をデスクにしてプリンターなどが乗せられて、ここで給付金などの書類作成をしているといいます。弁当箱に、ヨガマットに、事務作業をする机。

みなさんは1冊の絵本をご存じですか? ある日、おばあさんは丘の上から見る夕日が素晴らしいことに気が付きます。そうだ、今日はイスをもっていって紅茶を飲みながら沈む太陽を眺めようと思いつくのです。それがあまりにも気持ちよかったので、次の日はテーブルを、その次の日は紅茶セットをもっていきます。丘の頂上まではなだらかとはいえ坂がある。でも、気持ちいい夕景を楽しむために、おばあさんは一生懸命荷物を丘の上まで持っていきます。大変そうではなく、楽しそうにえっちら、おっちらと持っていくのです。次第に大きなものを家から持っていくようになります。本棚、ついにはベッドをと、家にあるものをどんどん運んでいきます。

家にある家財道具をほとんど丘の上に運んだある日、雨が降ってくるのです。困ったおばあさんは家に倉庫にあった大きなシートを思い出し、それですべてを覆ってしまうのです。まるでテントのように。おばあさんはランタンで灯しながら、本を読むシーンが最後だったような気がします。

子どもながらに、なんてステキな話なんだろうと思ったのを覚えています。久弥さんの部屋を見て、その絵本を思い出しました。まさに、おばあさんがやっていたような、ワクワクとする空間になっていました。
(多くの方にご連絡をいただきました、ありがとうございます! 絵本の題名は『いそがしいよる』福音館書店、でした。重ねてお礼申し上げます。上記ストーリーはい少し絵本と異なるところがございます。ワタシの愛嬌だとお許しください。)

秘密基地みたいですね。とワタシがいうと美弥さんは

「そうなのよ! もう楽しすぎて、前の生活に戻れるか心配なの」と話してくれました。エネルギーに満ちた、久弥のおかみさんです。

久弥さんは現在、テイクアウト専門で営業しています。3・4月の歓送迎会がすべてキャンセルになり、アルバイトさんが通う大学が休校になり、そして、コロナが猛威を奮っていきました。4月頭に店内営業をストップして、テイクアウト専門へと踏み切ります。

電車に乗ってアルバイトに来てくれる子がいて、その子を危険に晒すわけにはいかなかった、といいます。すべてのアルバイトの子にお休みをしてもらって、旦那さんの久さんと、美弥さんのふたりでできることを始めようと動き出したそうです。

久弥さんはかつてデリバリーやお弁当をやっていた経験があり、そのときに撮影した写真を使ってチラシを作り、すぐに態勢を整えていきます。「思いついたらやらなきゃ気が済まないたちで」と美弥さんはいいます。それにしても、新しいことへ挑戦するスピードがものすごく速い。

久弥さんがある通りは飲食店が軒を連ねる千歳船橋でも有名な飲み屋通りです。ここにくれば何か美味しい料理が食べられる、そんな通り。だから、この通りを中心に、デリバリーMAPがあったらお客さんもお店もうれしいだろうと彼女はMAPを制作して、印刷し、配り始めます。ひとりで周りのお店に声をかけて、2日程で制作しちゃいます。

「(わたしのことを)おせっかいって思う人もいるだろうけれど、気にしないようにしてる」と彼女はいいます。そうなんです。何かを始めるとときどき、心無い言葉が飛び込んでくることもあります。100人がいてすべての人が喜ぶことをするのは正直、不可能です。でも、喜んでくれる人が一人でもいる、そんなステキなことを立ち上げたり、続けたりする場合、たった一人の心無い声に心が折れてしまい、止めてしまうという悲劇は、世の中には星の数ほどあるんです。大切なのはその声を気にしないこと、なんですよね。改めて心に染みた一言でした。

美弥さんが始めた「おせっかいかもしれないけれど・・・」というステキなことはたくさんあります。なかでもとくに話を聞いてみたかったのが医療従事者の方への生ビールサービスです。それを明日ご紹介しますね。

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