デリバリー注文が来るまでエンドロールの前でビラを配り、注文が入れば自転車で配達する。注文が来ない日は4時間くらい店前でビラを配る。配達料はいただかない。現金決済で料理代をお客さんから預かり、エンドロールに渡す。こんな非常にシンプルな方法で、エンドロールのデリバリーを5月12日~26日に行った「C・K・O・P(ちとふな経堂おいしいねプロジェクト)」の外山(とやま)さんに話を聞きました。
この3月に東京農大を卒業したという外山さん。コロナ禍(か)真っ只中で残念ながら卒業式は中止になったんだとか。専攻は国際農業開発。海外の農業を開発・サポートする研究で、海外青年協力隊の活動に近いところもあるそうです。彼は海外ではなく、日本の農家を巡ったそうです。将来、千歳船橋周辺で農業と飲食店やお客さんをつなぐ仕事をしたいと考えています。実家は静岡のミカン農家だそうです。
「(C・K・O・Pは)ボクを含めて3人で活動しています。そのひとりがエンドロールさんでアルバイトしていたことがキッカケでデリバリーをやらせていただくことになりました。」と外山さん。
※突然ですが、ここから対話形式になります。オレンジがワタシです。
そもそもデリバリーをやってほしいとお店から依頼があったんですか?
いえ、自分たちからです。いま、千歳船橋周辺で仕事をする準備をしているんです。地域の方々にお世話になるかもしれない、そんなことから何か手助けができればいいなと思っていました。それにアルバイトでUber Eatsもやっていたんです。新型コロナウイルスで大変なことになっているので、何かできたらいいなと始めました。
Uber Eatsをやられていたということですが、自分がやるからには「ここを変えよう」といったことはありますか?
いえ、とくにはありません。大げさに(大々的に)できると思っていませんでしたし、ちょっとでもできればいいなと思っていたので。自粛であまり外出したくない人もいますよね。そうゆう方々に届けられればと思って始めました。
やり方はいろいろあると思います。まずはSNSを立ち上げて、このエリアにお住まいの方ならこのレストランからデリバリーできますよと発信することもできますし、あとはビラを配るというやり方もあると思いますが、外山さんはどのように始めたんですか?
まずSNS(https://www.instagram.com/ckop20/)を立ち上げて、そのあとにエンドロールさんのインスタで取り上げてもらいました。そこからご注文いただいたのが多かったですね。あとはエンドロールさんの前でビラを配りました。
ビラにはどんなことを書いたんですか?エンドロールさん以外のお店も掲載していこうと思ったのですか?
はい。最初はデリバリーさせてもらえるお店を増やしていければと思ったのですが、あまり大きく広げられなかったので、結果としてはエンドロールさんだけのお名前を掲載するビラになりました。
1日何件くらいデリバリーに行ったんですか?
1日1件くらいです。7日間デリバリーをしたのですが、合計で6件お届けしました。
どんな方が多かったですか?
常連さんがほとんどです。外出したくない方や(通勤などで)千歳船橋駅まではいらっしゃるのですが、エンドロールさんまでは足を運ばずに翌日届けてほしいという方もいらっしゃいました。
やってみてどうでしたか?Uber Eatsは仕事としてデリバリーしますよね。でも、外山さんの活動はそういった経済活動とは違うというか。
6軒とはいえ、単純にやってよかったなと思いました。別にお金にしようとも思っていないし。地域のもの(料理)を届けることができて、喜んでもらってそれでよかったなと。
大変だったことってありませんか?例えば天気が悪かったとか。
天気は1日だけ小雨が降りましたけど、その日以外は天気がよかったですし。大変なこと、はなかったですね。無理のないように活動していましたので。
たとえばどういったところで無理のないように活動していたのですか。
デリバリーを担当させてもらう店舗さんを無理に増やすことはしませんでした。増やしたいなとは思っていたのですが。。。(いきなり増えると)準備や人の手配なども考えなくてはいけないので。まずは1店舗からと思っていました。
デリバリーを行っているなかで、こんなことをしたいと思ったことはありませんか?
時間がなかったので考えることしかできませんでしたが、東京農大が作っている製品をつけて一緒にデリバリーできればいいなと思いました。
デリバリーのエリアを限定していましたが、そこから大きく外れてオーダーが入ることはありませんでしたか?
はい、ありませんでした。世田谷通りを渡ってすぐ、というところはありましたが、そこも配達エリアに隣接している場所でした。
とても堅実ですね。これは東京農大の学生さんの特徴なのかもしれませんが、外山さんも堅実がイメージが強いです。(あくまでもイメージではありますが)ほかの大学ですと、お祭り気分になっちゃう学生がいたり、思い切りサービスを拡大して、立ち行かなくなり、いきなり倒れるケースだってある。
6件とおっしゃってましたが、これが60件とかになるとテンヤワンヤになったり、間に配送会社に入ってもらわなきゃとか大きく変わっていくことになりかねません。そうなるとメンバー間でも意見が合わなくなって来たりしてグチャグチャになったりします。外山さんと話をしていると、先を想像し、堅実に進めていく姿が見えます。
外山さんの活動をほかの農大生が見つけて、参加したい!と声がかかったことはありませんでしたか?
連絡はありませんでした。広がっていけば面白いのですが。。。それに、このコロナ騒動でほとんどの学生は帰省していたというのもあると思います。
デリバリーをする、ビラを配ってお客さんを募るなど新しい活動を始めるときはワクワクもすると思いますがドキドキもしますよね。イベント会場で説明スタッフをするなどの経験はありましたか?
はい。そのような仕事の経験はありました。エンドロールさんにいらっしゃったお客様にビラを渡すという感じでしたので、みなさんもらってくれました。道を通る人に、だれそれ構わず大々的にビラを渡すとエンドロールさんのご迷惑になるかもしれないので、確実にお客さまだとわかる方に渡していました。ですのでビラを渡すのも難しいこともなくできました。
1人目のデリバリーは外山さんが担当されたんですか?
はい。ボクでした。白ワインにあうごはんセットのようなものでした。
どんな方でしたか?
(想像するしかないので)あまりどのような方だったのかはわかりませんが、とてもよろこんでいただいたのを覚えてます(笑)。ありがとうございますと言っていただいた、うれしいな、と。
そういえば、一人目のお客様ではありませんでしたが、チョコレートをもらったことがあります。「これ、持っていきなよ」って渡されて、うれしかったですね。
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それから、私は配送料について聞いていくのですが、「こんなご時世だから」と配送料をもらうことを考えなかったという彼の姿を見ていて、こんな若者がいるのねと驚いてしまいまいした。「時間もあったし」「喜んでもらえたから」と言葉は続きます。
自分の卒業式も中止になって、新社会人として動き出す時期にコロナに振り回されているのに、こんなステキな話が聞けるとは。これから社会を作っていく若者たちに脱帽しました。「最近の若者は」気を抜くと言ってしまいそうになります。理解できないことも多いからでしょう。でも、でもね。こんなステキな若者もいるんです。どうですか、今日ご紹介した最近の若者は。いいでしょ? ワクワクするでしょ?