Complex Bar IKEDA

バーの新しい形がここにあります。

祖師ヶ谷大蔵にあるバー、IKEDAのマスター・池田さんは
ノルマを課さず、お客さんのチャージをもらうだけという形でバンドを応援しています。

コンサートやライブをやろうとするとバンドはある程度、「赤字」を覚悟するのが当たり前なんです。悲しいことに。そこにはノルマがあり、ノルマが達成できない場合はバンドは持ち出しして使用料(場所代)を払うことになります。

「文化を守っていかなくてはいけない」
そう、池田さんはいいます。

だから、お客さんが5人しか集められない、入場料を一人2000円にした。その場合は池田さんにはチャージの1000円を払い、残りの1000円はバンドの懐に入ります(たとえば一般的なライブの場合、ノルマ20人、一人3000円以上とし場合、最低でも6万円を使用料として支払うことになります ※あくまでも例示です。これでお客さんが10人の場合、残りの3万円をバンドが負担しなくてはいけない。これではバンドはライブをやるたびに赤字を抱えていき、疲弊していきます)

池田さんは静かに語る男性なのですが、心は熱かったです、とても。

もうひとつ、新しい形がありました。それはお客さんがカンパして、お店をどんどん良くしていくというスタイルなんです。

開業当初は隣接するビルにお住まいの方もいらっしゃって、何度かクレームを頂戴したそうです。IKEDAさんが入っているビルのオーナーさんは音楽に理解があり、その住人の方々に「こういった場所はなくしてはいけないので、何卒ご理解を」と根回しをしてくれたんだとか。お住まいの方々に理解してもらったとはいえ、何もしないわけにはいきません。池田さんは防音カーテンを購入して、なるべく音が漏れないようにと対策していったのです。

でも、そんなに安いものでもないんですよ、防音カーテンって。

で、池田さんはどうしたか。ここがすごいんですよ。お客さんからカンパを募り、みんなでこの店をよくしていこう!と動き出すんです。

お客さんにお願いするなんて滅相もない、とか、あり得ないでしょ?とか
あなたがやりたくてお店を始めたんだからお客さんに頼るなんてしないで私財をなげうちなさい!
って声がちらほら聞こえそうですよ。そんな声が聞こえないまでも店主自らが戦う「幻想」がそんなことを言い始めることだってあります。でも、でもですね。ファンというものはどんなお店にもいて、彼らはお店に来られることが「生きがい」の人だっているんです。

そんな彼らはお金を払うことから、一歩進んだことへ手を差し伸べることは吝かではない。むしろ、喜んで手を差し伸べてくれる。

でも、店主がお客さんに声をかけること。これはとても難しいものです。わかっているけど、現実は・・・ってやつ。

IKEDAさんは、その力の抜き具合というか、頭の良さというか、愛嬌なのか。
その橋を渡ってしまいました。それでIKEDAさんには防音カーテンが付くことになったんです。

わかっているけど、それはできない。
理想論はそうだよね。

簡単な言葉で片づけることはできます。
でもIKEDAさんはその理想に近づいて、ポンって飛んだんだなーとインタビューをしていて感じました。
キラキラしてました。

そうそう、ここのバーはライブが入っていないときは池田さんが伴奏をしてくれ、歌えます。あなたの十八番を披露して、自分の理想とやらと向き合ってみてはどうですか?きっと、カウンターで飲むお酒が一生の思い出に残るほどおいしいと思いますよ。

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