演劇部は気持ち悪いと思っていた/福島三郎さん

千歳船橋には小劇場があるってごぞんじですか?駅から徒歩1分ほどのAPOCシアター。ここを拠点にしている「丸福ボンバーズ」という劇団があります。この野球チームみたいな劇団、ときどき子ども向けに「ちびっこボンバーズ」という演劇ワークショップをやっていて気になっていたんです。幼稚園くらいの子どもを中心に、2日間で100人くらいの親子が参加する人気イベント。ちびっこたちのアイデアをもとに即興劇をつくったり、芝居の世界を身近に体験できるなんてちょっと楽しそう。親としては、「やったことがあればお芝居観に行っても楽しめるかな」なんて、都合よく考えているわけですが…。

そんな、「ちびっこボンバーズ」の方にお話を聞けたら~なんて軽い気持ちでお願いしたら、なんと座長の福島さんからOKが出てしまいました。福島さんは、舞台を中心に脚本や演出など多方面で活躍中の超多忙な演劇人です。怒らせたら缶とか飛んでくるんじゃ…なんて半分逃げ腰でしたが、飛翔物はなく、しつこい質問にも和やかに答えて頂けました。千歳船橋で、お客さん入るんですか?なんて単刀直入な質問はとりあえず置いておいて、子どものころの話からじっくり紹介していきます。最初に言っておきますが、今回は3回くらいになっちゃってもいいよと言われているので、一番面白いところは次回からかも。いや…もちろん今回も面白いですよ。

子どものころ、何か夢中だったことはありますか?

福島: 実は僕、中学までずっと体育会系だったんですよ。3歳から小6まで器械体操を週6日。学校帰ったらバスに乗って体操行くっていう生活だったで、遊びの記憶はあんまりないんです。岡山の地方都市に住んでいて、実家は歯医者の三男。体操で有名なスポーツクラブに通ってて、小学生のとき自慢じゃないですけど、全日本チャンピオンでした。関西のジュニア大会は全種目で完全優勝して、そのとき2つ下に池谷選手がいて僕サインしたんですよ。「岡山の福島や」って言われてちょっとしたヒーローでしたね。

えっと、完全に自慢話から始ま…いやいや華々しいです、まさか体操の天才児だったとは。演劇と全く関係なさそうなところからのスタートになりました。オリンピックを目指してたってことですか?

福島:同じころにやっていた仲間はオリンピック選手になっていて、このままいったら僕も、オリンピック選手になると思ってました。目指していたっていうより、なるんだなぁという感じですね、当時、ジュニアで日本代表になってましたし。でも、嫌だったんですね、中学に入ったときに怪我で3か月くらい入院したのをきっかけに体操をやめました。

オリンピック選手になれることが確実だったのにその道を棒に振ったわけですね。周りは絶対え~~~~ってビックリしたでしょうね。でも、まさかそのあと演劇の道に行くなんて、誰も予想できなかった大転換…体力勝負の演劇の世界、スポーツ経験は役立ちそうですが。でも、安定するまでは親もやきもきしたでしょうね。それから演劇に?

福島:そのあとは、サッカー部。演劇部は気持ち悪いとしか思ってなかった、笑。母が観劇好きな人で、観劇団体に登録していて、小学生のころから年に  本くらい新劇とか落語とか観に連れて行かれていました。子どもには退屈なものがほとんどだったけど、ときどき面白いなぁと思うこともあって。桂枝雀さんの落語とか、こまつ座の「きらめく星座」とか、テアトルエコーの「サンシャインボーイズ」とか、もう衝撃でしたね。こういう誰でも楽しめるお芝居っていいなぁと。でもそのときは、やろうなんて全く思ってなかった。それと演劇部は全く結びつかなかった。

運動ばっかりやってはいたけど、ちゃんといいもの観てたんですね。子どものうちから本物の芝居、熱心に見せていたお母さま。エライ!と思うんですけど、実際に演劇の世界に入ると言ったら猛反対だったそうで。ま、当然ですよね。反対されなきゃこちらとしてもつまらな…そして、何も言わずに見守り続けてくれたお父さんの死後明かされる感動秘話、あの大物脚本家との出会い……ドラマはこれからです。次回に続きます。

文/kana
祖師谷大蔵在住暦5年、一女一男の母。千葉県出身。学生時代は、バンドを組んで歌ったり、映画を撮ったり、文章を書いたりして過ごし、マスコミ関係で働く。趣味はウクレレ。2014年~ウーマンエキサイトにてコラム掲載中。

 

丸福ボンバーズ/http://marubon.net/
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