唐揚げの町、千歳船橋

最近、唐揚げの店がこれでもかと林立しているんです、千歳船橋には。

ちょっと前にはかの有名なテリー〇藤さんの唐揚げが、
直近にはラーメン屋さんの後に唐揚げやさんが出現しています。

まるで宇都宮の餃子?というように(餃子の町、千歳船橋にもなりつつありますが。こちらもまとめてまいります)唐揚げ店が増えています。その数はざっと10軒弱。食べ歩きしながらすべての店をコンプリートしようとしても挫折せざるを得ないレベルです。

昔、チトソシでは4つのお肉屋さんの唐揚げを誌面比較したことがありました。どちらがいいとは言えませんが、チトソシはやっぱり昔ながらのお肉屋さんの唐揚げが好きですし、中華料理店でごろっと出てくる唐揚げ定食が好きなんです。こちらも勝手な想像ですが、愛情にあふれているような気がします。手作りで、利益が薄くて、でもサービスしちゃう人情に溢れている唐揚げ。好きだな、やっぱし。
(※新規店、チェーン店さんが愛情がないとは申してませんのであしからず。愛情たっぷりで丁寧に作っているお店ばかりです。ただ、チトソシはそちらのお店よりも、昔ながらのお店が好きということです)

それでは紹介していきますね。


肉の大丸

100g / 220円(税込)

衣 / 薄め
味 / 独特のスパイス

こちらのお肉屋さんは親子で営んでいます。お兄さんはなかなかなイケメンです。そんなことは蛇足でしたね。話したいのはここの唐揚げ。スパイスを使っていて、独特なんです。たぶん、初めて食べる人は「は!!」って驚きます。こんな唐揚げ食べたことない!って「え!!!!!」って思います。心の中で叫ぶもよし、独り言のはずがシャウトしてるかもしれない。それほどに衝撃の味でございます。ワタシも、こんな味付けの唐揚げ、食べたことはありませんでした。

どんな味かって気になりますよね。甘くて、スパイシーで、独特な高揚感が襲ってきます。栄養ドリンクを飲んだような高揚感です。甘いような、刺激的なような。まあ、こんなことを申してもしようがありません。まさに未知の味です。処理できないですし、表現もできない。

でも、ここの唐揚げは「クセ」になります。すべての人がクセになるかといえばそうではありません。割合としては10人中2人くらいかな。とてつもなく心に刺さり、また食べたくなる。疲れたときは「大丸の唐揚げ」と頭の中にフレーズがギチギチに詰め込まれるほどに、このフレーズで埋まります。脳が求める味になります。一つ食べたら、もう一つ食べたくなる、そんな麻薬のような禁断の唐揚げなんです。


肉の春日屋

100g / 250円(税込)

衣 / 薄め
味 / 濃いめ・甘さあり

大山どりのもも肉を贅沢に使った一品です。肉の味が濃厚です。肉汁がジューシーというか、味わいによだれが反応して、口の中が唾液であふれる系です。1つで白米1杯軽く食べられちゃうくらいに濃厚な唐揚げです。揚げたては衣はカリっとしているのですが、冷えてもおいしいのがやっぱ肉屋さんの腕の見せ所だよねーとうなずいちゃう「冷えても」おいしい。冷えてきてしっとりした衣が肉にピタッとまとわって、赤ちゃんの頬のようにやわらかい。頬すりしたくなるほどです。

ここのお母さんが元気いっぱいで、買いに行くだけで元気ももらえちゃうんですよ。昼間にいらっしゃるお父さんもいい味を出しています。まるでカウンターのように飛び出す一言が心を温かくしてくれるんですよね。ここのご夫婦は言ってみれば「月と太陽」かな。お母さんが太陽で、お父さんが月。どちらも好きですね。

切るとこんな感じ。ギュッと詰まった大山どりの肉質がわかると思います。これが固くなくってふわっと柔らかいだなー。太陽と月のご夫婦の愛情がやわらかくしてるんだろうな。


肉のまつばや

100g / 210円(税別)

衣 / 薄め
味 / 濃いめ・ラード強め

ココは揚げ油が秀逸です。

ラードの割合が高くて、想像通りの「お肉屋さんの薫り」がします。唐揚げもその香りに包まれています。

油だけじゃなくて、揚げ方も秀逸です。唐揚げを包む衣は2層になっています。外側はカリっとした食感担当。内側は肉汁を閉じ込めるバリア構造。2つが咀嚼されて、サクサクともっちりとしっとりが絶妙に混ざりあい、表現できないうま味が訪れます。

食べてほしいのは唐揚げ以外にもあります。

それはショーケースに並ぶ一口ヒレカツととんかつです。衣がね、ピンと立っているんです。触るとシャリシャリといいそうな、削りたてのかき氷のように尖る衣。見ているだけで、歯ざわりを想像するだけで、気持ちよくなります。場所によっては肌を突き刺すだろうな、と納得させられる尖り方。刺さったとしても、たぶんにじむ血を気にせずに、二口目へと突き進む、だろうなと想像させるほどに旨いんです。

ここの揚げ物をつまみに、ビールを飲む。これはもう人生を謳歌する悦びでしかありません。皿に乗せて、ビールをグラスに注ぎ、ダイニングテーブルに乗せる。あとで見返すわけでもないだろうに、写真を獲りたくなるほどに嬉しくなるだろうな。

凛とした姿に、神々しさを感じてしまう揚げ物たち。琥珀色の液体と、陽光を通して黄金に光る衣。「昼から寝て、何が悪い」とだれに聞かれたわけでもないのに、独り言ちて、一人で小さく笑う幸せ。嗚呼、いいなぁ。

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