vol.8 フォトグラファー

祖師谷にある
カフェグリーンジンジャー店主
椎木麗さんが紹介する
祖師谷の素敵な人々にまつわる
ちょっといい話

 むーちょさんこと武藤 奈緒美さんとの正式な出会いは、東日本大震災がきっかけでした。わたしが以前広報担当として勤めていた会社で写真撮影の外注依頼をしていたのがむーちょさんで、それ以前から知り合いではありました。千歳船橋在住の社内デザイナーが行きつけの飲食店で彼女と知り合って、イベントなどの撮影を依頼することに。撮影で顔を合わせた時に、お互い「祖師谷に住んでいるんですよねー」と話したことがあったものの、まさかそんなに近かったとは!(わたしは去年千歳船橋に引っ越したのですが、以前の家はむーちょさんの家から歩いて3分くらいの距離だったのです)

 震災からちょうど1年経った頃の春、以前の勤務先から震災で多大な被害を受けた宮城県亘理のいちご農家と岩手県釜石で活動するNPOの取材旅行にライターとして行く仕事を依頼されました。その時にカメラマンとして同行したのがむーちょさんで、ホテルで同室だったこともあり、正味1日ちょっとのあいだたくさん話をしました。それがきっかけで店に通ってくれるようになり、今にいたります。

 それ以来、ぎゃるり 薇葡萄(らぽると)のちか子さんと着物友達になったり、オテル・ドゥ・スズキの鈴木シェフと共通の知り合いがいることが発覚したり、楽しく当店を利用してもらっています。わたしは、むーちょさんが撮る写真がとても好きです。撮影対象の人(たとえそれが物であっても)への慈しみにあふれていて、その人のいちばんすてきなキラキラした瞬間が切りとられているから。

 まもなく、震災から丸5年が経つのですね。あの瞬間、わたしは店の中にいて、鈴木シェフといつものように話をしていたところでした。取り乱してはいないつもりだったものの、鈴木シェフがさっと立ち上がってドアを開けて退路確保してくれて、自分をふがいなく感じたものでした。状況がよくわからず漠然とした恐怖につつまれる中、近所の方が何人も通りがかりに「だいじょぶだった?」と声をかけてくださったり、メールを送ってくれたことに救われたことが今でも忘れられません。
 
 当店は、1月10日で6周年を迎えました。至らない点は多々あり日々反省しきりですが、お客さまのおもしろさに関してはどこにもひけをとらないものと自負しています。ひとりでも多くの方が、当店で楽しい出会いを体験していただけることを願って。今後とも何卒よろしくお願い申しあげます。

レシピ

クリスタライズド・ジンジャー
(生姜糖)

生姜のシロップを手作りする方も多いと思うのですが、あとに残る生姜でもう1品!のアイディアです。お茶請けとしてはもちろん、ワインなどにも合いますよ。

【材料】
生姜シロップを作った残りの生姜(スライスや千切り)……適量
グラニュー糖……適量

【作り方】
(1)鍋やフライパンに生姜シロップを作った残りの生姜を入れて弱火にかけ、水分を飛ばします。焦げないように注意!

(2)ほんのりしっとり感が残るくらいになったら、グラニュー糖を入れて焦げつかないように全体を混ぜていくと、グラニュー糖が結晶化していきます。鍋に残るグラニュー糖は生姜風味の砂糖として使えるので、多めにざらざらと加えるのがおすすめです。

(3)完全に結晶化する前に火を止めてOK、その後も結晶化が進みます。表面が乾いたら完成です。

本日のお客さま

フォトグラファー
武藤 奈緒美さん

1973年生まれ、茨城県日立市出身、祖師谷在住歴19年。落語家をはじめとする人物撮影を得意とし、寄席・演劇、自然光を生かしたフード・インテリアなど、幅広いジャンルで活躍。ライフワークとして、妊婦のポートレイトや、文学と旅の記録写真を手がけている。
http://www.mu-cyo.com

著/椎木麗

カフェグリーンジンジャー
日休 11時30分~19時
https://www.facebook.com/cafe.green.ginger/

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