ウララのひとレシピ、まだまだ続きます

もう、チトソシも発行して丸3年が経ちました。いろいろな人に出会って、いろいろなことがあって。もちろん、別れもあったし、突然お店を閉じられて連絡が付かなくなった方もいらっしゃいます。別れは悲しいですね。でも、しょうがない。そう思える年になってきたんだなと思います。
雑誌をやっていて、楽しいなというのは人と出会えることももちろんあるのですが、お店をたたんだとしてもその後も連絡をくださったり、ほかの分野で奮闘している姿を知ることができたり。そんなつながりが残っていくことなんだろうなとしみじみと思うことがあります。雑誌をやっているっていうことってこんなことなんだよ、そう一片でも思ってくれるとうれしい、文章が、カフェグリーンジンジャーをやっていた麗さんから届いてます。なかなかに元気をもらえる、と思いますよ。これを読んで明日への活力になるといいなぁ。まぁ、今日も麗さん、ガンバッテマス!って感じです。ではでは、麗さんどうぞ!

 

2016年12月29日まで祖師谷でcafe green gingerを営んでいました、椎木麗です。もう過去形になってしまいました。閉店を決めたのは2ヶ月ちょっと前の10月下旬のこと。ある朝ふと思いついて。それからなんやかんやとバタバタしているうちにあっという間に最終日を迎えて、丸6年間を過ごした店を閉じました。年が明けてしばらく、重い腰をあげて履歴書をつくりながら「7年のブランクがあるし長丁場になるかもしれないなぁ」と覚悟した2017年の始まり。でもなぜか、年始の抱負のついでに、手帳に「2/15までに就職する」と書いていました。もう1ヶ月ちょっとしかないし、こりゃまたいつもの達成しない目標だわね。なんてことを思っていたら、その2週間後に採用通知を受けて、2月6日から銀座勤務の会社員生活をスタート。20代の頃に化粧品会社でPRをしていたのですが、今回は銀座にあるヘアケア専門の化粧品会社PRです。

前置きが長くなりましたが、そんなわけでチトソシ冬号の原稿提出をすっかり忘れて年始から疾走しておりました。読者のみなさま、編集長、申し訳ありません。誌面を落としてWEBでセカンドチャンスをいただき、編集長からの「銀座OLの風ビュンビュンでよろしく」というオーダーを考慮してみたんですが、銀座に1週間通ってみての印象は「今さらだけどほんとうにインバウンド消費すごい」です。仕事以外での感想は、ほんとそれに尽きます(会社での仕事は、当初の予想以上に自由にのびのびとやってます。楽しいです)。祖師谷も千歳船橋も道が狭くて観光バスを乗りつけられないからか、インバウンドの波に免疫がなかったわたしはほんとうにびっくりしています。おすすめランチスポットとか華やかな合コンとかそういう感じじゃなくてすみません。スーツもハイヒールもマストではないし、着る必要がある時や自分が履きたい時に、といった感じです。あ、ジェルネイルはやってます(そこか?)。

カフェをクローズした直後の話に戻ります。一人暮らしだから、店を閉めて無職になった途端に人と話す時間が日常のなかからすっぽりと失われて、さぞかしさみしく感じるだろうと、これまた覚悟していました。が、全然そんな時間がありませんでした。すみません。就職活動と同時進行で毎日なにかしら人と会う用事が立て続き、日本語の話し方を忘れることもなく面接を通過して無事就職となりました。これはまちがいなく、約6年間ほとんど毎日「オテル・ドゥ・スズキ」鈴木シェフと激烈ディスカッションを重ねて会話力を鍛えられていたおかげで、就職面接がとっても楽しかったです。面接はドイツ人社長ほか社員の計4名によるものだったんですが、同席してくれたうら若き転職エージェントの女子が「けっこうつっこんでいろいろ聞かれましたね・・・」と感想をもらしたことにびっくりするくらいで。え、あのくらいの会話だったらいつでも片手でコーヒーをドリップしながらでもできますけど。というと大げさですが、ともあれそんなこんなで現在にいたります。

常連のみなさんが口々にはなむけの言葉としておっしゃってくださったのは、「店がなくなるのはさみしいけれど、あなたの決めたことがうまくいくことを祈っているよ」ということでした。だから、いま自分が一人部屋の片隅でしょんぼりしてなくてよかった。今のところ、100%自信をもってその期待に応えられています。それぞれに元気で楽しく生きていれば、縁がある人とはまたいつかどこかで自ずと会うことになるはず。年齢的にもうお会いできないかもしれない方には、心のなかで今生の別れを告げました。思い返せば、昨年末はわたしだけではなく、お客様たちにも引越しなどの変化や転機がおとずれた時期でした。たくさんお世話になった「ぎゃるり薇葡萄」は祖師谷のギャラリーを昨年末にクローズし、近いうちに奈良にリロケーションします。家族の都合で引越しされた方もいれば、中国での新規ビジネス展開を手がけることになった方がいたり。

12月の中旬頃、編集長が店の中で写真を撮ってくれました。これを書いているのはそこからちょうど2か月。ずいぶん時間が経ったようにも思うし、変わったことはたくさんあるけど本質的なところはなにも変わっていなくて。編集長から「今回はウララさん自身のことにしましょうよ」という提案を受けて書き始めたものの、どうしめくくっていいかわからなくなってきましたが、そうだ、最後にcafe green gingerっぽいジャズのプレイリストをひとつおいておきます。

https://www.mixcloud.com/urarashiinoki/la-vie-en-rose-female-vocal-jazz-/

昨年9月頃につくったもので、その時は年内に閉店することは思いついていなかったかと思うと、しみじみとリアルな現役感ある選曲です。こんな雰囲気のお店があったなぁ/あったんだね、という感じでお楽しみいただけますとさいわいです。6年間という決して短くない間、わたしのカフェをご愛顧いただきありがとうございました。会えなかった方も、またいつかどこかで。これからは1人の千歳船橋住民として、どうぞよろしくお願いいたします。

椎木 麗

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