[su_box title=”お店情報”]16:30-24:00(LO23:30)
水休
03-3483-1493
東京都世田谷区祖師谷3-1-16
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昭和51(1976)年8月に産声を上げた「やきとり まかべ」。
その2か月前に産声を上げた私、編集人の迫田(さこだ)。同い年。
(どうでもいい情報ですが、話を聞いていた時に「おお! 俺と同い年!」って感動したので掲載させてくださいませ)
最近、この店に何度となく足を運ばせてもらっています。いつも やきとりを食べて、ビールを飲んで寛がせてもらっている祖師谷の名店、やきとり まかべさん。今日はお話しを伺いました。
やきとり屋にする前は店周辺はマーケットで、よろず屋さんを営んでいたそうです。祖師谷の北にある「うるしばら」さんのようなお店だったんだとか。時代は高度成長期。オオゼキさんのようなスーパーマーケットができ始め、野菜だとか日用品は八百屋やよろず屋では買わなくなっていき、お客さんはドバーっとスーパーマーケットへと流れていったんだそうです。
で、よろず屋を畳み、飲食業へと転身を遂げるわけです。昔のひと(というと怒られますが)って思い切りがいいし、やると決めるとやっちゃって、うまく行っちゃうことが多いような気がします。勝手な想像ですけれど、「やきとり」をやっちゃおう!っていうのから40年以上。商売は繁盛していて、毎晩大賑わい。すげーよ、ほんとに。
もちろん、壺に入っているタレだって、継ぎ足し継ぎ足しで、もう40年以上の年代物。火事になったら・・・・って縁起でもないけど、それこそ壺を抱えて旦那は走るんだろうなって思いながら話を伺っていました。そうしたら、奥様が財布(これがまたすごいんだけど、表面に1億円と書かれたお札が印刷されたお財布!)から、このあたりにあった映画館・祖師谷劇場のチラシが出てきたんですよ。ジップロックに入って大切に保管されていたそれを見せてもらうと、すし屋さんの広告が入っているわけで(多分広告だよね)、上にぎりの値段が入っているわけですよ。その値段が200円。一体どれほど昔なんだ?と奥様に聞いてみても、「わからない」ってお答で。当時の家賃が5000円だったから、って話は聞けるんだけど、何年前なのかはわからなかったです、残念。
ちょっと計算してみました。今では上にぎりが3000円くらい。15倍なので、5000円の家賃は75000円か。家賃は75000円で収まらないだろうけど、特段安かったわけでもなかったんだね、ということがわかります
ちなみに「いつもは簡単に見せないのよ」っておっしゃるので、皆さんがご覧になれるように写真に収めておきました。これで現物をわざわざ出さなくても、ジップロックから出さなくても、すし屋の値段がめちゃくちゃ安かったというのがみんなわかります(ん? 安かったのではなく、物価が今と違うという話でしたね)。
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ちょっと脱線すると祖師ヶ谷大蔵って千歳船橋と違ってかなり古くからやっているお店がちらほらあるんです。やきとり まかべさんは40年以上、表の通りに出て右に行くと見えてくる「喜福」さんも50年くらい、目の前の呉服屋・千歳屋さんなんて110年くらい。一般的に「老舗」と呼べるのは創業50年以上からという感じなのですが、祖師ヶ谷大蔵では老舗がちらほらとあるわけですよ。この町の歴史の深さというか、50年もここでやってきたスゴさというか、いろんな感情が渦巻きます。
と脱線はここまでで、撮影用に2本やきとりを焼いてもらいました。焼き加減も絶妙で、撮影後に試食させてもらったんですが味ももちろんおいしいわけで。よろず屋からの転身するときにどこかで修業したのかな?なんてちらりと思ったんですが、まぁ、聞いたところで答えはどっちだっていいじゃないかと思いました。新橋の某有名店で1年修業したんだよっていうのもすごいし、「え?そんなの適当に見様見真似で焼き始めたんだよ」っていうのでもすごいし。年数を重ねるということがどれほど大変で、どれだけの実績であるかということはよくわかるので、あえて聞くのはやめちゃいました。なんか無粋だなーって思ったわけでございます。
やきとり まかべさんって緩い(ゆるい)のが特徴なんですよね。やきとりだけしか出せないぜ!っていう固さというか頑固一徹というかそんなのがないんですよね。そう、おばあちゃんちというか、座敷があるからかもしれないんですけど、緩くて心地よいんです。ポテトフライがあったり、家庭的なピーマンの肉詰めがあったり。メニューの数もものすごいんですけど、それを見ているだけで「ほんわか」とした気分になってきます。あっ、こんなのもあるんだ、これはどんな料理なんだろう?とか。やきとりを中心としていろいろなわき役がそろっている、そんな感じです。
そうそう、気になるのは「キッチンまかべさん」との関係です。同じ「まかべ」なので兄弟? もしかして親子?など憶測が飛び交うこともあると思いますが、答えは「親戚」なんですって。こっちはやきとり、あっちは洋食。ジャンルは異なるとはいえ、祖師谷の食をかなりのウエートで支えている真壁家、というわけです。もしもはしごするなら、まずは洋食で軽くおなかを膨らませて、やきとりでしこたま飲む、これがやっぱり王道コースかな。
あっ、ビールを頼むときにはちょっと安い「北海道」がおすすめです(っていうと奥様に怒られちゃいそうですが・・・)。人恋しくなったらカウンターでしっぽりと。何人かで訪れるなら座敷に肩を寄せ合いながら座る、そんな素敵な時間が待ってます。嗚呼、今日もにぎわっているだろうな。あの温かい雰囲気は「やきとり まかべ」ならではのものですね。祖師谷にちょっとなれたらぜひ一度足をお運びくださいませ。