侘び寂びサラダ

祖師ヶ谷大蔵にあるハム・ソーセージ専門店エッセンさんのポテトサラダです。2023年は一年間で2トン販売したという人気商品。恥ずかしながら、私はその2トンに1gも貢献できませんでした。ということで、今年の何トンかに貢献すべく購入(っていうのはウソ。ずっと気になってて食べてみたかったから通りかかったときに看板を見かけて買いました)。

一口食べてみて「侘び寂び」が心いっぱいに広がりました。とても日本的なポテサラです。日本的。そう、家庭的とは違います。ポテサラとは?そんな禅問答を経て生み出された達観したポテサラなんです(勝手な想像)。

だって考えてみてください。エッセンさんはハム・ソーセージ専門店です。このお店のポテサラならハムが前面に出てもしょうがないかなぁ、ごろっとしたハムが入っていてもしょうがないかなぁ、むしろそうあって欲しいとすら思いますよね。でもね、違うんです。エッセンさんのポテサラはハムが他の具材と同じく、ポテトの引き立て役になっている。ニンジン、きゅうり、そしてタマネギ。タマネギなんて非常に細く切ってあり(きゅうりも非常に細かく切ってあります)、箸で持ち上げないと見つけられないほど。もちろんポテトサラダを食べるとしっかりとタマネギのおいしさが広がるのに、形はなかなか見つからないのです。

そのタマネギよりも少し大きくカットされたハム。ポテサラ全体を包み込むように、そして他の食材の味わいを消さないように、そっとそこに居るハムが侘び寂びを感じさせてくれます。いいなぁ、この感じ。古きより育まれる日本文化。無駄を究極に削ぎ落とした逸品でした。で、気がついたんです、これってさ、究極のチラリズムじゃない?って。

たった一片のハムが奏でる味わい。ハムだけ食べたらどんなに美味しいんだろう。ハムがこれだけ美味しいなら、ソーセージはどんな味なんだろうって。ポテサラをたとえばサンセリテさんのパンに挟んだらどれほど合うんだろうと想像ながら、箸でポテサラをすくっては想像が無限に膨らみます(プレジールさんはそれだけで完結してるから合わないかも?とか)。じゃあさ、ポテサラとハムを挟んだらどうなるの?ポテサラじゃなくってハムだけにしたらどんな味なんだろう?って。ポテサラからハム・ソーセージも味わってみたいって思い始めている自分がいました。

それにしてもこのポテサラ。落ち着く味。赤ワインとも合うし、吟醸の香り広がる日本酒ともいい。パンに挟んで活力として食べるのもいいし、お酒と合わせてクールダウンのお供にしてもいい。こりゃ、年間2トンも売れるよ、そう思いました。何年後には「祖師谷といえばポテサラだよね」、そう道行く人が話す、そんな日が近いのでは?と思いました。あー、また買いに行こっと。

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