13/100 林さん・祖師ヶ谷大蔵22年の足跡/アメリカ留学の目的/ハワイのあのイベント仕掛け人/東京の某マラソン大会作ってます♪(中)

こんにちは! 前回の林さんのエピソード、ご覧になりました?

まだ読んでない。。。。それは寂しいです。そんな方はこちらをご覧ください。

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というわけで、(上)に続き、(中)がスタートします。文字数が多かったので、上・中・下に分けることにしました。今回の目玉は……、そうだなー。やっぱり某マラソン大会の裏事情ですかね。なかなか語られることのない、情報です。目を皿にしてご覧ください!!


そんなゆったりとアメリカでは過ごしてきたのに、日本で就職したら激務だったんですね。

 真逆ですよ。帰れないし。ずっと夜通しモニターを見てるし……。フォトショップのバージョン3.01を使っていて、マックが固まるんですよ。ひどかったですね。固まって帰れない日はたくさんありましたね。「うぁー!固まった!帰れねー」みたいな(笑)。

今もそのお仕事を続けているんですか?

 6年半ほど続けて、イベント制作会社に転職しました。イベント制作会社で17年くらい居ました。そこも辞めて、今は某マラソン大会を運営する財団で仕事をしています。

イベント制作会社を経て、スポーツ関連の仕事に移るというと、立場が違うので大変な部分がありますよね。今まではプロモーションの素材を制作していたのが、今は自分たちが企画運営しているものをプロモーションして広めていくというように。

 イベント制作も映像の制作もそうですけど、クライアントさんがいて、こうゆうのを作りたいんだけど、「ドラえもん!このお金でいい感じのを作って!」的な話だと思うんですよ。自分たちが企画・計画したものがそのまま最終的な成果物になるなんて10に一つもないんですよ。日本文化はハンコを押す文化なので、係長に行き、部長に行き、本部長に行き、取締役に行くとエッジーだった企画がまん丸になっちゃうんですね。丸いなぁ、みたいなね(笑)。  折衷案なんてものはないんです。もう一つの案?ってね。何との折衷案なんだろう、とかね。

部長と本部長の折衷案ですかね。

 部長と本部長がこういっているので、ちょうどこの間で、どうかなー、みたいな話になったりします。若いころはそういうことにものすごく反発していましたが、まぁ、歳をとってくると「まぁ、そうだよね。あなた方がおっしゃっていることもわかるよ」とこちらも丸くなっていく。  だから、カッコいいとかいう概念ではないのです。伝えていくツールとして「それを作って欲しい」といっているだけで、ボクたちが作品を作ろうとしちゃったら上手くいかない。そこにはギャップが生まれてしまいます。ボクはプロデューサーだったのですが、クリエイターとクライアントの通訳をしているような仕事をしていましたね。

現職に変わられて、プロモーションをかけなくてはいけない場合もあると思うのですが、映像制作やイベント制作を経験されて活きている部分もありますよね。

 初めてクライアント側というか、コンテンツホルダーとして働くことになりました。それはものすごく楽しいです。自分で決められるから。今まではクライアントさんにお金を出してもらって作っていたのですが、今度は自分たちのお金で、自分たちの作りたいものを作ってもらうという立場になりました。だから、より明確にビジョンを示すと、より明確にビジョンが帰って来るということが実感できます。  だから、いずれ大手の広告代理店の機能は必要なくなるのではないかと思いますね。クライアントに、明確なビジョンと意志と決定権があれば代理店は必要なくなります。クライアントさんに素人であってもらわないと代理店は困るわけです。代理店がクライアントにとってのドラえもんであれば、いつまでもお金を落としてくれます。クライアントが知識を得ないままでいてくれれば極端な話、何を作ったっていいわけです。そうなると、クリエイターたちは(何を作ればいいのか明確なビジョンが示されないので)不満を持ちます。

明確なビジョンがあってクリエイターと直接つながることができれば、彼らの制作スタイルを知ったうえで、このテイストならだれがいい、この雰囲気を伝えるならこの方がいいとクリエーションをより具体的に行うことができ、より明確なビジョンを返してもらうことができるようになるということですよね。

 そうです。作品になりますし、こちらは(代理店を通していないので)ギャランティーだけ払えばいいということになります。クリエイターさんの得意・不得意もわかったうえでクリエーションを依頼できるのがとてもいいですね。

 イベント制作会社に居たとき、ほぼほぼ海外の仕事をしていました。多いときで1年で100日以上出張していましたね。海外を転々として。

日本のクライアントに対して海外の製品情報・イベントなどを伝えるために出張していたのですか?それとも海外のクライアントに対して……

 日本のクライアントが海外のイベントに出店したいという案件や、海外のクライアントが日本のイベントに出店したいというインバウンドの案件を扱っていました。圧倒的に日本の企業さんが世界に出ていく手助けをしたケースが多かったですね。企業や官公庁であったり。

 おかげさまで30か国以上で仕事しましたし、ハワイには1年に5回以上訪れていました。とても充実したイベントマン人生を送らせてもらえましたね。

一般の方とは別の視点でハワイを訪れているわけですよね。そうなるとハワイに対してどういった感覚を持つようになるのですか?

 まず、ハワイの人たちから「ウエルカム」といわれるのではなく、「ウエルカムバック(おかえり)」になるんですよ。毎年5、6回訪れていて、パスポートを見ると60回くらい訪れています。そうなると、もうやることがなくなっちゃうんですよね。

 ハワイで担当させていただいたイベントがアラモアナ・ビーチの灯篭流しです。アラモアナ・ビーチに5万人くらい訪れて、そこで7000基の灯篭を流すという幻想的なイベントです。ここ2年ほどコロナで開催できていませんが、これを11年ほど担当しました。今の仕事に転職するとき、この灯篭流しだけは続けたいなと思ったイベントですね。

アラモアナ・ビーチの灯篭流し
「ランタン・フローティング・ハワイ」

Shinnyo Lantern Floating Hawai‘i
Shinnyo Lantern Floating Hawai‘i Started in 1999, Shinnyo Lantern Floating Hawaiʻi is ceremony of remembrance, gratitude and aloha, held every Memorial Day at Ala Moana Beach.

この灯篭流しは日本の企業がプロモーションとしてハワイで行っているものなのですか?

 真如苑(しんにょえん)という立川にある宗教団体が主催しています。現地の運営はハワイなのですが、企画が真如苑なのです。真如苑さんが考えたアイデアを私達イベント会社が形にして、現地・ハワイの方々といっしょに作っていったイベントです。

そういったイベントを形にすることで、真如苑さんはどういったメリットが生まれてくるのですか?

 世界展開している宗教団体なので、レピテーション(評判)を上げていくことができるのです。アラモアナ・ビーチで7000基の灯篭が流れていくのはほんとうに美しい光景が広がります。それが現地では1時間枠の生放送で放送され、ネットで全世界に広がっていきます。今ではハワイを代表する有名なイベントのひとつになりましたね。

 最初は信者さんだけで小さな湾で灯篭を流したそうなのですが、人の伝手があって「アラモアナ・ビーチでやらない?」とか「テレビ中継しない?」とどんどん話が大きくなっていったそうです。それで自分たちで一回やってみようと挑戦したそうです。照明と舞台と音響とという感じで担当を分担して開催したのですが、さんざんな結果に終わったそうです。それで、巡り巡って依頼が来たということなんです。  それで英語が話せるチームということで、ボクたちが指名され、話を聞くことになったんですよね。すごくご縁があったなと思います。

翌年にはしっかりと形にしたんですか?

 ええ、もう。ブラボーという形に仕上げさせていただきました。でも、まだまだ改善点がありまして、どんどん進化をしていったのです。イベントといっても生放送なので「秒単位」です。1時間の枠に納めなくてはいけないので。タイムスケジュールに沿って進行していくっていうのが痺れましたね。「アメリカの生放送を1年に1度やる」という誇りと、あの痺れる感覚がたまらなかったですね。1年に一度自分が奮い立つというか。特別なイベントでしたね。

そのイベントを経験することで自分のなかのレベルが変わったと思いますか?

 はい。それはあったと思います。あまり振り返ったことはありませんでしたが、ただ、間違いなく自分の経験とか知識とか知恵とかというものになったと思いますね。

今までいろいろなポジションでお仕事をされて、それが糧となって現職に就かれていると思うのですが、このように変えたいというビジョンはありますか?

 うちのマラソン大会は市民ランナーのものなのです。3万8000人の一般市民が走れる大会なので、警察が通行止めにした東京の街を、道のど真ん中を走りながら「ここが浅草か」なんて思いながら観光できることは、一生のうちでほぼありません。それを皆さんに楽しんでいただくことを一番念頭に置いていますね。当たらない・当選しないと各所からおしかりを受けますけれど、それだけの価値があるからこそ、皆さん応募してくださるんだと思います。

東京を通行止めにするというのは、ハワイの生放送1時間に匹敵するほど大変なことをするんですよね。

 ええ、そうですね。警視庁と連携を取り合いながら、交通規制を解除していくタイミングを分単位で調整していますね。それ専門の部署があるんです。警視庁が「うん」といわないと絶対に開催できない大会です。都庁をスタートして、フィニッシュは行幸通りですから。皇居の前ですし。そんな経験できないですよ。

スタッフの方々は事前にコースの下見はやっているんですか?

 死ぬほどやっています。今年少しコース変更をしたのですが、コースの30km以上走りましたね。自分でも走れるとは思わなかったほどの長距離ですけれど、走れましたね。30kmといっても、道の真ん中を走れるわけではありません。歩道を走り、場所によっては向こう側に渡らなくてはいけない場合もあり、歩道橋を渡ることもあります。なので、実際よりも長いコースを走っているのかもしれませんね。

 お見せはできませんが、コースの運営マニュアルを見ると、東京の非常に縮尺が大きな(住宅地図のように細かい)地図に、ガードレールの本数とか、カードレールの間隔が何メートルとかすべて書かれているんです。毎年、道って変わるんですよ。そして毎年、変わっているか、変わっていないかを確認しに行くんです。

変わっている場所は測るんですよね?

 測ります。ちょっと特殊な方法で測ります。いちいちメジャーで測っていると歩行者のご迷惑になってしまうので、自分の歩幅がどのくらいの長さなのかあらかじめ測っておき、その歩幅を使って計測します。ここは5歩だから、何メートルだなという感じです。そんな事前確認を全コース行っているんです。

コースでいろいろな東京のランドマークを見られると思うのですが、このランドマークが間近で見られるのはすごいって思うものはありますか?

 やっぱりフィニッシュが皇居前っていうのはグッときますよね。天皇陛下に向かってゴールしていくんだというかね。

そこをゴールにするのはちょっと考えただけでも(許可を取るなどの)ハードルが高かったのでないかな?と思いますが、いかがだったんですか?

 そうですよね。以前は東京ビッグサイトでした。大型イベント会場のビッグサイトなのでランナーから預かった荷物を返却しやすいですし、フィニッシュ後にランナーが休むスペースも確保しやすかったですし。なので、丸の内に変わったことは実はものすごく大変なんです。

ランナーの荷物はスタート地点で預かり、スタッフがフィニッシュ地点まで運ぶということなのですか?

 そうです。11トントラック何台かで運ぶんです。コロナ禍になりまして、どこから感染が拡大するかわからないので、荷物を運ぶということは中止になりそうです。場合によっては手荷物を持ってこないランナーには特典を渡したりとか、そんな発想の転換を行っています。

 スタートとフィニッシュが違う場所なので、例えば地方からいらっしゃったランナーの場合ですと、ホテルがある新宿まで丸の内から汗だくで地下鉄に乗るのかという問題が出てきます。移動に使うポンチョをプレゼントする施策もあります。  丸の内周辺のビルや催事場をひとつひとつ交渉して借りていくという交渉作業もあります。ビッグサイトひとつでよかったのに、管理している会社も別々ですし、価格も千差万別ですし。


っと、今日はここまででございます。続きはこちらです!

林さんが22年間も祖師ヶ谷大蔵に住んでしまっている、この町の魅力について語ってくれます。うぁ~、地元愛ってヤツがあふれています。そうか、この町にはこんな素敵なお店もあるんだ、そんな情報も満載です。おたのしみに♪

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