15/100 兼田さん・超若手の女性殺陣師、原動力は「なめられたくない」。もうその心意気からして殺陣師なんだなと感動(上)

こんにちは。もう冬真っ只中ですね。霜柱だって立ちますし、なんで冬ってこんなに寒いんだという言葉だってもれますよね。季節の移ろいはほんとうに早いですよね。今回は去年の夏にインタビューさせていただいた殺陣師、兼田(かねた)さんのお話をご紹介いたします。


伺ったのは渋谷駅から徒歩数分のとある寺院。かなり大きなお寺です。門前で待っていると彼女が現れました。インスタにアップされていた写真とプロフィールの身長からある程度はイメージが出来上がっていたのですが、想像以上に小柄な方で、「このような方が殺陣をされているのか?」と驚きました。

彼女と並んでお寺へ入っていくと、もう気がついたんです。彼女の姿勢がもう、普通の人とは違います。纏っている空気が「凛」としているというか。とても静かな、そして、透き通ったものが周りを包んでいました。


- 兼田さんって、実は千歳船橋と祖師ヶ谷大蔵に思い出があるんですよね。

 幼い頃からお芝居をしていたのですが、千歳船橋と祖師ヶ谷大蔵にあったのでよく通ってました。ワタシ、千葉県に住んでいて、15歳のころ、千葉県の片田舎と、千歳船橋を往復していたんです。制服着て。なので思い出の町ではありますね(笑)。

- そうなんですね。小さな頃から15歳くらいまでですか?

 作品によってお稽古場って変わりますので、渋谷区とか世田谷区とかが多かったのですが、15歳、16歳のころはかなり千歳船橋とか、祖師ヶ谷大蔵が多くて。(遠いので)もう自宅から向かうだけで「ひと旅行」ですよ。


- ずっと殺陣なんですか?

 もともとは普通のお芝居をやりつつ、アクション女優になりたかったんです。アクション女優って殴ったり、蹴ったりとか喧嘩のアクションが非常に多かったんですけど、ある方と知り合いまして方向性が変わっていきました。祖師ヶ谷大蔵でお稽古をつけていただいていた先生たちが、ヨーロッパで演劇をやっていたんですね。それに、15歳のワタシが、海外で殺陣などの和もの、和服を着てお芝居・演劇をやりたいなとあこがれたんです。それをきっかけに時代劇を勉強し始めていて、気がついたら殺陣師を目指していました。

- アクションから派生するものはほかにもあるのと思うのですが、時代劇や殺陣へと向かっていったのには何か理由があったのですか?

 身長が148cmなんですけれど、ちっちゃい日本人の女の子が和服を着て刀を振っているとどうしてもチヤホヤされるんです、ヨーロッパでは。「うぁ、かわいい」とか「かっこいい!」とか。1年くらい、イギリスやフランスなどで(舞台を)やっていたときに、「チヤホヤされてるな」と自覚があったんですよ。それで、「あっ、たぶんこれ、飽きられるな」というのと、「たぶん、ワタシが年を重ねたときになめられるな」「本物じゃないと認められないな」ということに、21歳のときに気がついたんです。

 20歳のときにはじめてヨーロッパに行かせてもらって、存分に盛り上がったんですけど、結局もっと極めたいと思ったんです。10年、20年かわいい着物着て、殺陣して、ワーワーするといったら、このままではたぶん違うなと。そう思ったら、殺陣とか刀とか、しっかりと技術を身につけようとか、着物の着付けをしっかりと習得しようと、髪結いも学ぼうというスイッチが入りましたね。そこから時代劇に対して真摯に向かい合うようになりました。

 お能の先輩や狂言師の方とお芝居をご一緒したときに、技術を盗ませてもらうとか。実力派になりたかったんですよ。なめられたくないな、と勉強していましたね。

- その気づかれたときは、またチヤホヤされていたときですよね。

 はい、されてましたね(笑)。

― チヤホヤされているのに、このままではいけないなと思うようになったのには何かあったのですか?

 いやー。まだ自分は甘やかされている自覚がありました。1回目にヨーロッパへ行ったときは「はぁ、すごい!」って感動しただけだったんです。2回目行ったときも「やっぱり、どの国でも日本文化は人気なんだな」となんとなく思ったのですが、「これって、たぶん誰が演じてもチヤホヤされるかも」という気持ちになりました。ワタシじゃなくても、ほかの女の子が同じ衣装を着て、刀を持っていればチヤホヤされるなと思ったときに、湧きあがったんですよ。腹立たしいというか、嫉妬というか。

 じゃあ、そこらへんの女の子がマネできない技術をしっかりと身につけないと、たぶん若い子に(そのとき、ワタシも十二分に若かったですが)追い越されるなというのと、中途半端なことを、仮にも日本代表として訪れているので、もちろん適当にやっているつもりもありませんが、(今から思えば)こんな適当にやっていていいのかと。運動神経がいいので、ある程度刀に触れたり。ダンスにも親しんでいましたが、もっと本物になりたい、近づきたいという気持ちになりました。そこから真剣に学んで、取り組みました。

- そのようなことは陰りが出てから考えることが多いじゃないですか。でも兼田さんは違いましたね。ちやほやされているときに考えています。兼田さんは日常生活で現状を客観視することは多いのですか?

 多いかもしれないです。これといって(客観視して生活することが)多いのを説明するようなエピソードはすぐに浮かぶわけではないんですけど。。。

- 例えば持ち物が多いとかありますか? これを使うかわからなけれど、念のため持っていこうと思うとか。

 はぁ、それは結構あるかもしれないですね。ないよりはいいかなと。

― バッグに入れておいて一回も使わないものとかあったりしますか? たとえば、今日ならどんなものとかありますか?(と言いながら、なんとなくお荷物チェック的な展開になっていく)。あっ、あんまりバッグは大きくないんですね。

 こうゆう袋とかたくさんありますね(笑)。充電器が余計にあったり、モバイルバッテリーとか。この業界ってスマホが使えなくなっちゃうと終わっちゃうので。充電たくさんしておこうって思います。ちょっと心配症ってところがあるのかもしれないですね。

 心配性なところもありますが、色をそろえたいとか、統一性が欲しいというのが強いかもしれません。ごちゃごちゃするのが嫌いで。たとえば……

― 今日のアイラインと髪の色をそろえたりとかですか?

 はい、それもそうなんですど、黒の羽織と、インナーと足袋と帽子を黒で合わせて、黄色の派手な柄を合わせていくとか。後は財布とかスマホケースを黄色で揃えていく。揃えたいというよりもごちゃごちゃにしたくないというのが強いかもしれないです。インスタにもアップしているんですけど、衣装とか写真を撮影する際にテーマ性や色味とかを揃えたくなりますね。

兼田玲菜さんのInstagram
https://www.instagram.com/renakaneta4/

― そうですよね。ピアスにもゴールドと黒を入れてますもんね。

 そう。今日はゴールド合わせにしようとか。こうゆう金具も同じで、今日はシルバーにしようとなったら、ブラックとシルバーで統一したり。なんかそうゆうのが凄く好きで。

ー ファッションが好きなんですか? それとも揃えたいというのが強いんですか?

 色は揃えたいです。というのも着物とか衣装を身につけるとき、自分でこの着物を着たい、この着物にしようと決めるんですけど、衣装へのこだわりとか結構強い方だと思います。


初回はここまでです。次回は殺陣とはどうゆうものなのか、芸能界の先輩後輩のことかなどについて掘り下げていきます。お楽しみに♪

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