チャコールグリル 紅玉

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[su_tab title=”電話番号/営業時間/定休日”] [su_animate type=”fadeInUp”] 03-3482-2795
18:00~翌2:00
日休[/su_animate] [/su_tab]
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 「この店って特殊だと思うんですよ」と小池さん。どんなところが特殊なのか伺うと、「いやねぇ、息子の成長を、お客さんが見守ってくれてるんですよ。」と話を続けてくれました。


 そのとき、2階につながる階段から「何々が見つからない」だの「どこそこにあったのに」だの、甘えるような声が聞こえてきました。「なんだよ」といいながら、小池さんはその瞬間、店主から父の顔に変わっていました。少しして扉が開くと大人になる前の男の子が出てきました。ペコリと頭を下げて、走り去っていったのが佳延くんだと気が付いたときには、店の扉はもう閉まっていました。

 「この店をオープンしてすぐの頃、妻を亡くしたんですよ。」小池さんがオープンしたころを思い出すときに、「あのとき幼稚園の年長だったアイツが、今は小学5年生だから……」と息子さんの成長でさかのぼっていく、その姿が印象的でした。6年。言葉で表せばたった一言です。老舗店からみれば6年は〝たった〟6年といわれてしまう、そんな時間。でも、紅玉で流れた6年は比較にならないほど濃密で、そして素敵な時間だったんでしょうね。

 不動産をまわって、この店を内見したときのこと。「かなり汚い店だったんですけど、なんか『ここならいけるんじゃない?』と感じるものがあったんですよ。店の場所を決めるって人生でもかなり大きな決断なので、心配でしたよ。だから妻に見てもらったら、『いいよ、ここ。ここでやったら』って即答で。店を開いて、2、3回店を手伝ってくれました。」

 そして、小池さんと佳延くんはお店の2階で生活を始めました。開店してすぐの時間帯はカウンターで佳延くんが夕食を食べていたり、もちろん親としてお客さんの前で怒らなくてはいけない時もある。「でもね、常連さんは言わないけど、このこと知ってるんですよ」と小池さん。佳延くんとご飯を食べたいと訪れるお客さんもいるし、佳延くんは佳延くんでお客さんをもてなすホストの自覚もある。だからか、祖師谷の街では小池さんよりも佳延くんの方が顔が広いとか。「お客さんが佳延を旅行に連れて行ってくれることもあるんですよ。」とうれしそうな小池さん。もしかしたら、あと10年もすればカウンターを親子が彩る、そんなお店になるのかも。そう思わせる、温かな場所です。

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